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健康エッセイ3月号(掲載日2004年3月29日) 小児科へ戻る |
[子どもと集中力] 春、新しい生活のスタートを切る方もおられるでしょう。 その変化に伴うストレスなどに対抗するためには、 それなりの集中力が必要でしょう。 大人になってからの集中力を考えるとき‥‥ 子どもの頃に持っている集中力は、「からだ」と「こころ」の発達によって、 特別な意識をしなくても、ある程度までは 長続きするものになるでしょう。 さらに、子どもに対して集中力を出させる術を、周りの大人が心得ていれば‥‥ 『「勉強」,「遊び」,「運動」,「芸術」,「ひらめき」,「工夫」,「コミュニケーション」‥‥など いろんな場面で、集中力を発揮しやすくなる。ひいては、 大人になってからの集中力も伸びる。』でしょう。 今月号の健康エッセイでは、「子どもと集中力」と題し、 子どもの頃から集中力を発揮しやすい状況を作り出すことの大切さなどについて お話します。 集中力は一朝一夕に身につくものではなく、 子どもの頃からの「集中力にとって、良い習慣」が大事かと思います。 このことを、いちばんわかってほしいのです。 なお、このエッセイで扱う集中力とは、 よく「勉強」などのときに言われる集中力だけではなくて、 ストレスなどに対してとっさに発揮される集中力も含みます。 □ 集中力について考えるとき、「こころ」の面が大切になってきます。 子ども時代のことを考えると‥‥ ●子どもの基本的欲求 これらのことを、周りの大人がよく理解し、認めてあげる必要があるでしょう。 1.愛情:子どもに降り注げられる。 2.承認:大きな危険がない限り、子どもがやろうとすることを認める。 3.所属:何かのグループに属したがる。 4.成就:達成感を味わわせる。 5.独立:子どもの人格を認め、ひとり立ちを援助する。 ↑上の五つの欲求が満たされていれば、子どもの心は安定し、 ものごとに没頭しやすいでしょう。 逆に、欠けるものがあると、子どもは一見普通に振る舞っているように見えても、 心の中は今一つ充実しておらず、 集中力が妨げられていることになるのではないでしょうか。 このように、集中力には心の満足度ということが、大きく関わってきます。 □ 次に、集中力と「からだ」との関係に、目を向けたいと思います。 ・集中力には、数種類のホルモンが関係している。 ・集中力を高めるそれらのホルモンが適切に分泌されるには、 こころの状態が整っていることが必要。←このことは、科学的に証明されている。 上の2つのことが、言われています。具体的には‥‥ ●集中力が高まったとき、あるいは集中力を発揮しようとするとき、 分泌されるホルモン ・ドーパミン ・甲状腺刺激放出ホルモン (略称 TRH(ティーアールエイチ →グループ歌手 TRFではありません。(笑)) ・βエンドルフィン ・成長ホルモン ・セロトニン など ↑上に挙げたホルモンは、すべて脳内ホルモンと呼ばれ、脳から分泌され、 脳それぞれの場所に血液によって運ばれ作用する。 少々ややこしい、ホルモンの名前もあるようです。 が、無理して覚える必要はありません。 ホルモンというものは、ご存知のように、 「○○ホルモンよ、出よ!」と命令して分泌されるものではなく、 自分の意思にかかわらず自動的にコントロールされる自律神経の 制御のもと分泌されているからです。 ホルモンの名前を正確に覚えるより、どんな作用を望み、その作用を助けてくれる ホルモンが分泌されやすい体の状態に焦点をあてる方が重要です。 ●子どもの頃から‥‥ 子どもの頃からの「集中力にとって、良い習慣」について、 いつも頭の隅に置いておいてほしいと思います。 そうすれば、その集中力は いつか必ず、 本人および周りの人の役に立つことがあるでしょう。 ◇ ◇ ◇ 集中の後には、リラックスすることも必要です。 |
健康エッセイ2月号(掲載日2004年3月15日) 小児科へ戻る |
[体の機能の調節力] ●調節力とは? 人間は、子ども,大人にかかわらず、ストレスなどで体の状態が変わっても、 それを元の安定した様子(=恒常(こうじょう)状態といいます。)に自動的に戻す力 =調節力が備わっているのです。 体の機能自体の力は、子どもの方が大人より弱いということは、おわかりと思います。 さらに、この調節力も、子どもの方が未熟であるといえます。 そのような調節力の未熟さに加え、 最近の子どもの調節力自体の低下が叫ばれています。 今月号の健康エッセイでは、体の機能の調節力 がどのようなもので決められ、 またその調節力をアップさせるためにはどうしたらよいか、 などについてお話したいと思います。 ●体の調節力を決めるもの ○○系 : (命令伝達に使うもの) 神経系[自律神経を含む]:(電気信号) 内分泌系:(ホルモン) 免疫系:(リンパ球) ↑この三つの系統で決まり、それぞれの中枢(=司令塔)はいずれも脳である。 脳のエネルギー源は、ブドウ糖。ブドウ糖は糖質から作られます。 ストレスがかかったり、カゼをひいたとき、無性に甘いもの (Sweetsやアイスクリームなど)がほしくなったことはないでしょうか? 甘いものは、糖質の一種。こんなとき、甘いものがほしくなる、というのは、 体を自分で治そうとする自然な欲求なのかもしれません。ただし、食べ過ぎは禁物! □ それでは、3系統それぞれ、おもな調節力をあげてみます。 ▼神経系 神経┏中枢神経(脳・脊髄) ┣末梢神経(知覚,運動神経) ┗自律神経:体温,脈拍,血圧,呼吸など、内臓の動きをコントロール ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・感情(怒り,欲求など)を思考でコントロールしにくい。 ・朝礼などで、よく倒れる。 (→自律神経の未熟さからくる、起立性調節障害(=脳貧血)) ・平熱の体温が、36.5℃より低い。 :自律神経の未発達による体温調節力の未熟さが、主な原因。 運動不足による、体の中での熱エネルギー産生の低下も 関係している。 ちなみに、体の活動に必要な酸素は、36.5℃の下で最も良く働く。 ・よく転ぶ。 ・不器用 ・体のやわらかさが少ない。 など ▼内分泌系 ホルモン ┏副腎皮質ホルモン:体をストレスから守ってくれるが、 ┃ 免疫(体の抵抗力)を低下させる作用もある。 ┣成長ホルモン:癒しのホルモンでもある。主に、睡眠中に分泌される。 ┣抗利尿(こう りにょう)ホルモン:おしっこの量を調節。 ┗その他、数十種類のホルモンが関係している。 ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・肥満児の増加。:食べ過ぎと運動不足が主な原因であることはもちろんだが、 いくつかのホルモンも肥満に関係している。 ・夜、ぐっすり眠れない。:夜遅くテレビなど明るい光を浴びる習慣がついていると、 睡眠に入るためのホルモンバランスが崩れ、熟睡できなくなる。 ・いつも疲れている。 など ▼免疫系 ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・アレルギー(アトピー,食物アレルギー,喘息,アレルギー性鼻炎,花粉症など) =免疫異常の病気が増えている。 ☆調節力は、これら三つの系統因子が微妙に関係し合っています。 ●調節力をアップさせるには‥‥ 1.規則正しい生活:1日の中で、三つの調節系統が効果的に働く時間帯が 決まっているので、人の生活もそれに合わせよう という意味。 2.十分な睡眠 3.自然(nature)と触れ合いながら、適度な運動:心身をリラックスさせ、 血液循環が良くなる。→調節系統への栄養も良くなる。 「適度な運動」の具体的な基準はありません。要は、疲れを残さず、 (毎日でなくても)続けることではないでしょうか。 と ここまでは、よく言われてきたことかと思います。 以下は、最近強調されるようになった事柄です。 4.「少々○○なことなら、がまんする。」 すなわち、××でないといけない、という固まった考え方を捨て、 少しのことなら体に負担をかけ、調節力を鍛える という発想。 ○○なことの例としては‥‥ 暑さ寒さ,汚なさ,不便さ・不自由さ などがあげられます。 |
健康エッセイ1月号(掲載日2004年2月12日) 小児科へ戻る |
[予防接種 回数の意義] 同じ種類の予防接種(=ワクチン)を、一度だけでなく、 2-3回受ける必要のあるものがあります。 痛い思いをすることが多い予防接種ですが、 その回数に込められた意義がわかっていると (子どもさんには、わかりやすく説明してあげられると)、 その痛みも少しは和らぐかもしれません。 ●ブースター(booster)効果 聞きなれない言葉ですが、 なぜ接種を繰り返す予防接種があるのかがわかるために、 是非頭へ入れておいて下さい。 ある病原体に対して‥‥ それに有効なワクチン、しかも毎回同じ成分のものを接種したり、ワクチン接種後 自然にその病原体に感染(→感染しても、発症しない場合がほとんど。)したときに、 その病原体に対して体の持つ抵抗力(=免疫)が高まる、ことをいいます。 好きなテレビドラマや映画を、時間をおいて再び見ると、また感動が新たになります。 何となく、そのことに似ています。(笑) ●予防接種(ワクチン)の種類 ワクチンの中で、何回か繰り返し接種が必要なものがある、 理由をわかってもらうために、ワクチンを次の三つに分類します。 少々専門的な言葉ですが、ここがポイントです。 (ワクチンの製造技術などの関係で、どうしてもこの3種類に分けられます。) 1.不活化ワクチン:病原体自体を殺し、その毒性をなくす。そして、 その病原体に対して体で免疫を作れるだけの、(病原体の)成分だけを接種する。 →病原体成分による免疫作り; 何回か接種しないと、十分な免疫が得られない。 (ブースター効果を期待している。) ワクチンの例)百日咳,日本脳炎,インフルエンザなど 2.トキソイド:病原体自体は使わず、 病原体が作る毒素の毒性をなくしたものを原料にしてできた、ワクチン。 →不活化ワクチンのときと同様、何回か接種しないと、十分な免疫が得られない。 (これも、ブースター効果を期待している。) ワクチンの例)ジフテリア,破傷風 3.生ワクチン:生きた病原体の毒性を弱めたものを接種する。 →原則として、1回の接種で十分な免疫が得られる。 (病原体が生きているので、1回の接種で体の中でも、 たくさんの抗体(=免疫)が作られるのに十分な、病原体の増加がみられる。 しかし、毒性は弱められているので、発症はしない。) ワクチンの例)BCG(結核予防のため), ポリオ(ポリオウイルスによる小児麻痺予防のため), 麻しん(=はしか),風しん(=三日はしか),おたふくかぜ,水ぼうそう ●回数で見る、予防接種(ワクチン) 以上のことから、 「何回か繰り返し接種が必要なワクチンは、不活化ワクチンとトキソイドである。 繰り返す目的は、 ブースター(booster)効果により体にその病原体に対する十分な免疫を作ること。」 「生ワクチンは、原則として1回接種でよい。」ということが言えます。 ただ、一つだけ例外があります。ポリオワクチンは生ワクチンなのに、 2回接種が義務付けられています。 ポリオウイルスには、三つのタイプがあります。 2回接種しないと、三つのタイプすべてに免疫ができないのです。 この場合、接種を2回繰り返すのはブースター効果を狙ったものではありません。 ●接種間隔をどのように決めているか? ワクチンでできる免疫は、不活化ワクチン,トキソイド,生ワクチン すべて、 追加接種や病原体の自然な感染がなければ、 時間とともにだんだん減っていきます。 特に、不活化ワクチンとトキソイドは、 1回の接種では十分な抗体量(=免疫)が得られないので、 自然な感染がある前に、追加接種によるブースター効果が必要になってきます。 追加接種の時期は、ワクチンによって異なります。 もちろん指示された時期に接種するのが理想的ですが、 体調その他で受けそびれた場合、これは始めからやりなおす必要はありません。 その時は、かかりつけのお医者さんに相談すれば、 今どれくらい体にその病原体に対する免疫が残っているか、 推定して 次どうしたらよいか教えてくれると思います。 □ また、上にも言ったように、ポリオウイルスには、三つのタイプがあります。 2回接種しないと、三つのタイプすべてに免疫ができないのです。 この場合、2回繰り返すのはブースター効果を狙ったものではありません。 2回の接種間隔が6週間以上あいていれば、 たとえそれ以上に間隔が延びていてもだいじょうぶです。 生後3カ月から7歳半までは、公的に無料で受けられます。 とにかく、2回済ませているかどうかがポイントです。 { 7歳半以降でも、接種できます。(多分、有料になるとは思いますが。) } ●トピックス 「生ワクチンの一つである、麻しんワクチン単独での効力は もともと約10年くらいしかなく、追加接種を検討する自治体も出始めている。」 こんなニュースが流れていました。 「エッ、生ワクチンって1回受ければよかったのでは?」 −こう思われた方も多いかと思います。 これまでは、 ワクチン接種後も麻しんかにかかった人自体に接触することが多かったわけです。 このことが、 ブースター効果にもなっていて、一生高い免疫レベルを保っていたと思われます。 すなわち、 麻しんワクチン単独での効力は、一生続くほど高くはなかった、ということです。 ところが、最近、麻しんかにかかった人に出会う機会が減ってしまい、 そのブースター効果を受けることが少なくなっているのです。 ●予防接種 回数の意義を知っていれば‥‥ 予防接種へ、さらに積極的に取り組めるのではないでしょうか。 |
健康エッセイ12月号(掲載日2004年1月09日) 小児科へ戻る |
[善玉ストレスと幸せホルモン] ●幸せホルモンとは? 体の中で分泌されるホルモンのうち、一言で言うと、癒し系ホルモンです。 セロトニンホルモンという名前がつけられています。 脳の中心部から分泌され、脳細胞の間を行ったりきたり。 このホルモンは、 1.気持ちがゆったり落ち着いているとき や、 2.何かで充実感が得られたとき など、何とも言えない幸せな気分にさせてくれます。 このうち 2番について、先月(2003年11月)号の当健康エッセイにて、 私は「ストレスにも、善玉と悪玉がある」ことをお話しました。 おおよそ、次のようなことです。([]で囲んだ範囲) [身体に良いストレス=善玉ストレス(前向きな刺激); ・何かの発表など、乗り越えれば爽快感を味わうことができる試練 ・新たな、人やものとの出会い ・(大人だと)〆に追われた原稿書き(笑) など ⇔ 身体に悪いストレス=悪玉ストレス(後ろ向きな刺激); ・悪い習慣による生活からくるもの ・精神的に負のダメージが強い、暖か味のない言葉をかけられ、急に緊張したときなど 悪玉ストレスの作用の一つに、免疫を抑える はたらきがあります。 一方善玉ストレスには、悪玉ストレスのそのマイナスの はたらきを、 別のホルモンによって補うのです。] (一般にストレスと呼ばれているものは、悪玉ストレスをさします。) その別のホルモンとは、幸せホルモン(セロトニン)のことです。 □ 善玉ストレスが幸せホルモン分泌を促すことは、わかりました。 その善玉ストレスを一日の生活にどのように組み入れていけばよいか、 このあと考えていきたいと思います。 ●ゆったりするところと、緊張すべきところの区別 この2つをうまく組み合わせることによって、 幸せホルモンの分泌をいっそう活発にすることができます。 もちろん、その緊張とは善玉ストレスがもたらす良い緊張のことです。 悪玉ストレスがもたらす悪い緊張状態には、なるべくなりたくないし、 させたくもないものです。 ゆったりするところと、緊張すべきところ ーこのバランスの正確な割合については、 はっきり決まったものがあるわけではありません。 ただ、私が考える 良い緊張が保てる場の一日量は、 仕事以外に一日一イベントまでです。 (子どもさんの場合、単純に一日一イベントまでです。) 残りの一日の時間は、ゆったりリラックスできればと思います。 悪玉ストレスをできるだけ除くことによって、それも可能ではないでしょうか? |
健康エッセイ11月号(掲載日2003年12月03日) 小児科へ戻る |
[免疫へのステロイドホルモンの影響]→カゼをひきやすくなる? ●カゼの季節がやってきました。 めっきり、寒くなってきました。残念ながら、カゼのシーズン到来でもあります。 カゼの予防には‥‥ ・十分な栄養と休養(睡眠) ・油断して、寒い思いをしない。 ・手洗い,マスク などが言われていますが、ほかに体の中で予防できることがあります。 ●おさらい 表題「免疫へのステロイドホルモンの影響」の各単語(免疫,ステロイド,ホルモン)に ついては、これまでに当健康エッセイでお話してきました。 そこで、それぞれ振り返ってみることにします。 ▼2003年度5月号;免疫について 本来、人間が自然に持っている機構です。自分にとって異物が侵入したとき、 その敵と闘います。 異物には、細菌,ウイルス,花粉,化学物質などがあてはまります。 ウイルスが体に侵入して、体調が悪化すると、カゼをひいたことになるわけです。 ▼2001年度9月号;ステロイド(ホルモン)について ステロイド核と呼ばれる、脂分(あぶらぶん)の一種を中心に持つ物質全部を、 ステロイドと言います。 ホルモンとして、からだの中で作られるステロイドもあれば、 からだの外で化学的に作られるものもあります。 普通にステロイドというと、腎臓の上ににある副腎(ふくじん)というところから出る、 生命維持に重要な役割を果たす、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンのことをいいます。 ただ、スポーツ選手が使って問題になる、 ステロイドという言葉は男性ホルモンのことです。 これも、副腎皮質から分泌されるステロイドの一種ではあるけれど、 一般にいわれるステロイドホルモンとは区別されます。 □ <一般にいわれるステロイドホルモン> 一日のうちでは、早朝に分泌されることが多いですが、 ストレスがかかると、その度に分泌があります。 ▼2003年度8月号;ホルモンとは? ギリシャ語から由来していて、本来『刺激する。』という意味があるそうです。 体を維持するために、 年齢,性別に応じて作られる、とても少ない量で絶大な作用を示す物質。 作られたホルモンは、 血液中を通って体を維持するための作用に必要な臓器に運ばれます。 このように、離れた臓器に向かって血液中にホルモンを出すことは、 ホルモンを分泌(ぶんぴつ)する、と表現されます。 体の中には、70種類ほどのホルモンが分泌されています。その分泌は、 自律神経(=体の中で自動的に制御されている神経)によってコントロールされています。 ●免疫へのステロイドホルモンの影響とは? ここでいうステロイドホルモンとは、体の中で分泌されるホルモンのことです。 (薬として合成されるものにも、同じような作用はあります。) では、副腎皮質ステロイドホルモンに、どんな作用があるでしょうか。 1.体にプラスの作用がある ・過度の刺激による体の変化(血圧,脈拍,代謝など)を、最小限にとどめる。 ・炎症をしずめる。 (過度の刺激ということについては、 免疫へのステロイドホルモンの影響に大きく関わってくるので、次の項で説明します。) このように、副腎皮質ステロイドホルモンは、 体を維持するためには不可欠です。ところが‥‥ 2.マイナスにも作用することがあります。 ・免疫を抑える。:ここで、免疫へのステロイドホルモンの影響が登場してくるのですが、 この作用には少々ややこしいところがあります。 ↓ 細菌やウイルスなどの感染の初期は、そのこと自体をストレスととらえ、 ステロイドホルモンで対抗する。 しかし、時間がたつと結局、そのステロイドホルモンによって、 免疫反応(=体の抵抗力)は抑えられてしまう。 (←このあたりが、免疫へのステロイドホルモンの影響の複雑なところです。) ∴ステロイドホルモンが体内で余分に分泌されると、免疫力が低下し、 その結果カゼをひきやすくなるわけです。 ●過度の刺激とは? いわゆるストレスのことです。 肉体的ストレスー気候,過労,睡眠不足などや、精神的ストレスに分けられます。 また、ストレスにも、善玉・悪玉の区別があると、以下のように言われています。 身体に良いストレス=善玉ストレス(前向きな刺激;何かの発表,(大人だと)〆に追われた 原稿書き(笑)など) ⇔身体に悪いストレス=悪玉ストレス(悪い習慣による生活からくるもの, 精神的に負のダメージが強い、暖か味のない言葉をかけられ、急に緊張したとき など) 悪玉ストレスには、上に書いたように免疫を抑える はたらきがあります。 一方善玉ストレスには、悪玉ストレスのマイナスの はたらきを補ってあまりある効力が、 別のホルモンによってもたらされると言われています。 ●カゼの予防には‥‥ できるだけ悪玉ストレスを避け、副腎皮質ステロイドホルモンが、 あまり必要以上分泌される状態にならないよう気をつけて下さい。 また、(いつもである必要はないのですが)時々善玉ストレスを受けることは、 免疫力アップにもつながります。 このように、いつも免疫力タップリ状態にしておくことも大切ではないでしょうか。 |
健康エッセイ10月号(掲載日2003年10月27日) 小児科へ戻る |
[1日の食べ物サイクル] ●1日の食べ物サイクルとは? 人間の活動の源になる栄養は、子どもも大人も、すべて食事から摂られています。 その大切な食事の摂り方では、タイミングということが大切になってきます。 つまり、「必要な栄養素を必要な時間帯に摂る」ために、食品が消化・吸収されて 体に利用されるようになる頃を見はからっておく、ということとです。 普通、食べ物が消化・吸収されて体に利用されるようになるには、 3時間くらいかかります。 また、朝・昼・夕 食事のカロリー配分も大切です。 ということで、今月号では、 1日の食物サイクル=カロリー配分,朝・昼・夕 3食で、 いつどんなものを食べたらよいか、など望ましい食べ方について、 大切にしたい基本をお話したいと思います。 (具体的な食品名については触れません。) ●人間に必要な栄養素 「糖質,タンパク質,脂質,ビタミン,ミネラル,食物繊維,水」 ▽糖質(とうしつ): 名前からすると、甘いもののイメージがあるかもしれません。 が、実際は、米などの穀類,うどんなどの麺類,パン,芋類などの、 いわゆる炭水化物(たんすいかぶつ)と呼ばれる食品が主です。 人間の活動のおもなエネルギー源となり、 中でも脳の活動源になるものは、糖質のみです。 甘いものも糖質の一部です。摂り過ぎなければ、問題ありません。 10時と3時のおやつの習慣が、良い例です。 ▽脂質(ししつ=脂肪分): 体のエネルギー源、特に持久力を大きく助けます。 でも最近の日本人は、脂肪の摂り過ぎが問題になっています。 なぜかというと、脂肪1g当たりのカロリーが他の栄養素に比べ高いので、 脂肪を摂り過ぎると肥満になりやすいのです。 例)和菓子にはほとんど脂肪が含まれていませんが、洋菓子にはあります。 この差が、洋菓子の方がカロリーが高い原因になっています。 ▽タンパク質: 体の血や肉になる。 以前お話したように、夜間は、子どもも大人も、 疲労回復をはかる成長ホルモンの分泌が盛んです。 その成長ホルモンの原料はタンパク質なので、 夕食はタンパク質中心が望ましいでしょう。 ●カロリー配分 日本古来の習慣として、夕食を重要視する傾向があります。 しかし、体に良いとされている食べ方としては、 1日のスタートである朝ごはんを大事にしています。 これには、いろいろな説がありますが‥‥ 朝食:昼食:夕食=2:2:1 くらいが代表的です。 (もちろん、仕事などの関係でこの通りにはいかない方もあるでしょう。ですが、 この後にお話する、朝食,昼食,夕食 それぞれの食事内容の原則だけは、守って下さい。) ●どんな食事内容が理想か? ・朝と昼 糖質(炭水化物),タンパク質,脂質は特に重要なので、 三大栄養素として特別に扱っています。 日中の活動エネルギーのために、朝食と昼食のどちらか、あるいは二食トータルで、 これらの栄養素をうまく組み合わせて摂るようにして下さい。 その理想的な割合は‥‥ 糖質(炭水化物):タンパク質:脂質=60%:15%:25% 朝ごはんは、特に午前中の活動源ということを考えると、 糖質の割合はもっと多くてもかまいません。 糖質中心で、タンパク質・脂質を控えた食事が理想的です。 ▼どうしても忙しくて、時間がないときでも‥‥ 朝ごはんは絶対ぬかず、せめてバナナと牛乳だけでも‥‥。 ・夕食および夜食 夕方以降、糖質と脂質は摂り過ぎると、夜眠ってからは、 体に脂肪となって貯まりやすいです。 となると、夜間主に分泌される成長ホルモンの材料になる、 タンパク質中心の食事が勧められます。 朝の排便を促す、食物繊維もたっぷり摂りたいものです。 ・全食事を通して‥‥ ビタミン,ミネラル(カルシウム,鉄など)を、バランスよく摂りましょう。 |
健康エッセイ9月号(掲載日2003年10月6日) 小児科へ戻る |
[寝る前3時間の空腹] ●夜遅くごはんを食べると‥‥ (赤ちゃんを除く)子どもも大人も、胃腸に負担がかかって、 何となく体によくないなぁと思われるでしょう。 実は、これ以外にも大切な理由があるんです。今月は、そのことについてお話します。 ●keywordは‥‥ 肥満,ホルモン,朝ごはんの三つです。 さらに、これらの言葉からkeyになる文章を作ると、次の2つになります。 ↓ 寝る前にごはんを食べると‥‥ ・睡眠中のホルモンの分泌のされ方で、肥満になりやすい。 ・朝ごはん抜きの生活になりやすい。 詳しく説明すると‥‥ ▼睡眠中のホルモンの分泌のされ方で、肥満になりやすい。 せっかく食事を摂っても、その脂肪分を分解する、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン と呼ばれるものが、もともと人間には睡眠中少ししか分泌されていません。 また、糖分(白米や甘い物などの炭水化物)も夜中にはエネルギーとしては使われず、 皮下脂肪に貯えられてしまいます。そのため、太りやすくなるのです。 ★肥満は、今や大人でも子どもでも、危険な生活習慣病(成人病)の原因の一つに なっています。 副腎とは、左右の腎臓の上にそれぞれちょこんと乗っかっているような小さい器官です。 その副腎自体の表面層を、皮質(ひしつ)と言います。 皮質から分泌されるホルモンを、まとめて副腎皮質ホルモンと呼びます。 それにはさまざまな作用があり、脂肪を分解することもその一つです。 ホルモンの分泌は、自律神経(=自分の意思では動かすことができない、自動的な神経) によってコントロールされています。 ▼朝ごはん抜きの生活になりやすい。 朝ごはんの大切さについて書いている、当健康エッセイ2001年10月号では、 「前の晩遅くごはんを食べると、朝ごはん抜きの生活になりやすい。」ことを あげそびれていました。 朝ごはんの大切さについては、その号を読んで下さい。 ある統計によると、寝る前にごはんを食べると、朝ごはんを抜くことが多くなるそうです。 ▽仕事などの都合で、やむを得ず深夜に食事をしなければいけない場合 健康エッセイ先月号(2003年8月号)でもお話したように、夜間主に分泌される、 疲労回復をはかる成長ホルモンの原料がタンパク質であることを考えると‥‥ タンパク質中心の、軽めの食事を心がけて下さい。 |
健康エッセイ8月号(掲載日2003年9月19日) 小児科へ戻る |
[成長ホルモンの意外な作用] ●ホルモンとは? ギリシャ語から由来していて、本来『刺激する。』という意味があるそうです。 体を維持するために、年齢,性別に応じて作られる、 とても少ない量で絶大な作用を示す物質。 作られたホルモンは、 血液中を通って体を維持するための作用に必要な臓器に運ばれます。 このように、離れた臓器に向かって血液中にホルモンを出すことは、 ホルモンを分泌(ぶんぴつ)する、と表現されます。 体の中には、70種類ほどのホルモンが分泌されています。 今月は、比較的その名前はよく知られている成長ホルモンについて、 その意外な作用を含め、お話したいと思います。 ●成長ホルモンとは? 大きく分けて、次の2つがあげられます。 1.骨や筋肉などに作用して、体を成長させる。 2.体のいたんだ部分を修繕したり、疲労回復をはかる。 1.は、よく知られていて、主に子どもへの作用です。 2.の作用は、子どもにも大人にもあり、しかも意外と知られていないかもしれません。 □ 成長ホルモンは、脳の下垂体というところから分泌されます。 その分泌は、自律神経(=体の中で自動的に制御されている神経)によって コントロールされています。 たとえば、「あー、今日は疲れた。成長ホルモンでも出すか。」というわけにはいきません。 やはり、成長ホルモンが自然に十分に分泌されやすい生活をする必要がありそうです。 そのためには、成長ホルモンがどのように分泌されるのか、 ホルモンが十分に作られるためにどんな食事が大切か、知ってほしいと思います。 それは‥‥ ●成長ホルモンは、一日のうちいつ分泌されやすいか? 『寝る子は育つ。』という諺もあるように、成長ホルモンは、 睡眠中にたくさん分泌されます。これは、大人でも同じです。 しかも、寝入ってから3時間以内と、睡眠中・深夜0時〜2時までは、 特に成長ホルモンが分泌されやすい時間帯です。 その間の眠りを、大切にしてあげましょう。 ●食事 成長ホルモンは、主にタンパク質からできています。 また、それが作られるときは、 ビタミンAが必要です。 成長ホルモンが主に夜間分泌されることを考えると、 夕食や夜食はタンパク質中心のほうがよいことになります。 このとき、ビタミンA(レバー,うなぎ,ニンジン,小松菜など)をお忘れなく。 |
健康エッセイ7月号(掲載日2003年7月4日) 小児科へ戻る |
もうすぐ、本格的な夏がやってきます。 夏といえば、連想されるのが汗。子どもの額に光る汗って、健康的ですね。 ということで、今月は子どもと汗というテーマでお話したいと思います。 [子どもと汗] ●汗をかくと‥‥ 体の中にたまった熱を、発散することができます。夏場の打ち水のような感じで、 汗が蒸発するとき皮膚から熱を奪うわけです。 人間は、自分の体温を一定にしようとします。 ですから、この「汗をかく」ということは、たいへんよくできた仕組みといえます。 ●汗をコントロールしているのは‥‥ 皮膚の中にある、汗を作っている汗腺(かんせん)という器官がコントロールしています。 さらに、汗腺が作る汗の量は、 脳とつながっている自律神経というもので決められているのです。 自分が意識することなしに、体をうまく維持するための、 脳からの命令を伝えるのが、自律神経。 例)内臓の動き,血圧なども、この自律神経によって制御されています。 ●汗腺の数は‥‥ 3歳までに、どれだけ暑い思いをしたかによって決まります。 つまり、熱帯の人たちの汗腺の数は多く、 逆に、寒い国の人たちには少ない、という傾向があるのです。 最近の日本は、温帯といっても夏場は亜熱帯に近い気候になります。 体温調節しやすくするためには、ある程度汗腺の数は多いほうがいいでしょう。 ●エアコンの普及 近頃、屋内は、夏場エアコンの効いていることが半ば当たり前になっています。 涼しいところにばかりいると、小さな子どもでは汗腺の数が増えません。 また、子どもでも大人でも、 汗腺の機能をコントロールしている自律神経を鍛えることができないのです。 ただし、エアコンを使うことが100%悪い、というわけではありません。 暑くて不快なときや、病気などで涼しくしたほうがよいときは、エアコンを上手に使って下さい。 ●子どもは、なぜよく汗をかくのか? 「大人より平熱が0.5℃近く高い,新陳代謝が活発,よく動く」ことなど、体の中で熱が 生まれる条件がたくさんあり、それらを発散させるためです。 だから、子どもがよく汗をかくことは、ごく自然なことなのです。汗っかきは健康な証拠、 着替え・こまめな水分補給(お茶,イオン飲料など)をお忘れなく! ●1日1回は、外に出て汗をかく! 汗腺の数を増やすという意味で、特に3歳以下の子どもさんで大切です。 赤ちゃんは、紫外線が弱まる朝または夕方にベビーカーで散歩させるのがよいでしょう。 |
健康エッセイ6月号(掲載日2003年5月31日) 小児科へ戻る |
[下痢のときの食事] ●下痢は‥‥ 小児科に来る外来患者さんの数では、風邪の次に多い病気です。 下痢の原因はさまざまですが、原因のいかんにかかわらず、下痢の期間の食事を工夫 することによって、苦痛をやわらげ、治るまでの日数をより短くすることができます。 今月は、下痢のときの食事について‥‥ ・どんなことを目安に、食事内容を決めればよいか? ・一般に下痢によいとされている食事には、どんな下痢によい理由があるか? ということについて、お話していきたいと思います。 ●<どんなことを目安に、食事内容を決めればよいか?> 人間の生理現象を自然にとらえて、「出た便と同じ硬さの食事にする。」ということです。 つまり、水のような便が出ていれば、水のようなお粥・おかずにします。 逆に、便が固まってくれば、どんどん食事内容をアップすればよいわけです。 ●<一般に下痢によいとされている食事には、どんな下痢によい理由があるか?> [一般に下痢によいとされている食事] お粥,うどん,耳を取ったパン,野菜スープ,白身魚,あぶら身の少ない肉(鶏肉など),大根, りんご擦り(汁のみ)など ※腸の粘膜に刺激が少なければ(やさしければ)よい。 逆に、腸粘膜に刺激が強い食事は、下痢のときには不向きです。 そのような食材は‥‥ ・繊維質の多いもの ごぼう,こんにゃく,筍など 果物:バナナはよいと思われがちだが、繊維が多い。 りんごの擦りおろし 果肉の部分は、繊維が多いので注意して下さい。 ・あぶらっこいもの ●水分補給 食欲がなくても、下痢のときの水分補給は大切です。 ほしがるだけ与えてよいのですが、与えるものに気をつけて下さい。 普通のジュースなどに含まれている糖分は、弱った腸粘膜には刺激が強過ぎます。 その点、ポカリスエットなどのイオン飲料の糖分は、腸粘膜にやさしいものなので、 他のミネラルも摂れ、心強い味方です。 あと、もちろんお茶や湯ざましも、OKです。 <牛乳> 下痢のひどいときは、やめておいた方がよいでしょう。 よくなりつつあれば、普段の2/3ぐらいはOK。 ただし、普段から牛乳嫌いなどであまり牛乳を飲まない子が、 下痢のとき飲むとミルクアレルギーを起こすことがあるので、 完全に下痢がよくなるまでは、ひかえて下さい。 ●その他の工夫 ・ハチミツには、整腸作用があり、料理をやわらかくもするので、 下痢のときの食事に上手く活用できると思います。 (注 ハチミツは加熱殺菌されていないので、 まだ抵抗力の弱い、1歳未満の子どもさんにはハチミツを与えないで下さい。) |
健康エッセイ5月号(掲載日2003年4月28日) 小児科へ戻る |
[アレルギーとアトピー] ●体の防御反応 これは免疫とも呼ばれ、本来人間が自然に持っている機構です。 自分にとって異物が侵入したとき、その敵と闘います。 その機構が正常に働いているときは問題ないのですが、 何らかの理由で過剰に働いたとき、いろいろ人体に害を与えます。 これが、アレルギーの状態です。 ●アレルギーの分類 1-4型、四つに分けられます。 うち、1型と4型がよく知られている上に数も多いので、この2つのタイプのみ説明します。 1型:即時型(異物が侵入して、15分〜12時間という短時間に起こるアレルギー反応) ※IgE(アイジーイー)抗体という、異物と闘う物質が体の中で働く。 ※IgE抗体 皮膚の下、腸管の壁、気道、鼻の粘膜の近くの血管やリンパ管に多く分布する、タンパク質。 だから、それぞれアトピー性皮膚炎,食物アレルギー,喘息,アレルギー性鼻炎の 原因と考えられる。 <主な病気> アトピー性皮膚炎,食物アレルギー,喘息,アレルギー性鼻炎,じんましん,花粉症など 4型:遅延型(異物が侵入して、2日〜数日後に起こるアレルギー反応) ツベルクリン反応は、このアレルギー反応を利用している。 <主な病気> アトピー性皮膚炎の一部,薬アレルギーの一部など ●アトピー アトピーとは? アレルギーの1型(即時型)反応で、しかも遺伝や体質が深く関与する。 ●この2つの言葉の使われ方 今までの話から、この2つの言葉の関係を不等号で表わすと、 アレルギー>アトピーの関係です。 つまり、アトピーはアレルギーであるといっても間違いではありません。 ところが逆に、アレルギーだからアトピーであるとは必ずしも言えないのです。 また、アトピーがアレルギーの中でも患者さんの数は多く、 アトピー以外のアレルギーの種類が専門的であまり知られていないために、 アトピー≒アレルギーというように使われています。 この言葉の使い方は誤りではないけれど、さっき説明した背景をよく考える必要があります。 ●アレルギーとアトピーを区別しておいた方がいい理由 同じアレルギーといっても、型により治療が変わってくるからです。 しかも、アトピーともなると、日常生活での工夫がより大切になります。 |
健康エッセイ4月号(掲載日2003年3月29日) 小児科へ戻る |
[よいコミュニケーションの態度は、健康の基本] −家庭内でのコミュニケーションの大切さー ●「こころ」の健康 健康は、「こころ」と「からだ」の両面から考える必要があるといわれます。 そして近頃、専門家の間さらに、皆さんの暮らしでも、 このうち「こころ」の健康の部分がクローズアップされてきました。 今月は、その「こころ」の健康のうちでも、 よいコミュニケーションの態度は、健康の基本 −家庭内でのコミュニケーションの大切さーと題して、 小さな子どもさんのいる家庭でのコミュニケーションの大切さ、 そしてそのことが健康にも関わることについてお話したいと思います。 ●春 4月、スタートの月です! 保育園,幼稚園,学校,社会など、 今月から新しい生活のスタートを切る人が多いのではないでしょうか。 いっぽう、保育園や幼稚園に上がる前の小さな子どもさんは、団体生活に入る前、 家庭内でのコミュニケーションが中心になると思います。 この時期、よい家庭内でのコミュニケーションの習慣をつけておくことが、 成長するにしたがって、大切な意味を持ってくる気がします。 ●体温で温められた言葉 それでは、よい家庭内でのコミュニケーションの習慣をつけておくには、 どうすればよいでしょうか。 私は、家の中で体温で温められた言葉が行き交うことを提案します。 体温で温められた言葉とは、相手の言うことをじっくり聞いて、 その上で相手を傷つけることなく自分の考えを発する暖かい言葉のことです。 つまり、あまり配慮なく交わされている会話に対して、 体温で温められた‥‥という表現が使われています。 そして、この体温で温められた言葉を浴びる習慣がついていると、 自然によい家庭内でのコミュニケーション、 ひいては社会に出ても通用する立派なコミュニケーションの態度につながると思います。 ●よいコミュニケーションの態度は、健康の基本 こうして、よいコミュニケーションの態度ができていれば、 「こころ」と「からだ」の健康につながるでしょう。 なぜ、コミュニケーションがうまく保たれると、健康にもいいのでしょう? 私は、それは暖かい心の余裕によるのだと思います。 体の中が暖かい気持ちでいられたら‥‥なかなか病気になりにくい、 たとえ病気になっても早く治るのでは。 病気というものは、軽い重いに関わらず、基本は保温ですから‥‥。 |
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