健康エッセイ集2004年版
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健康エッセイ8月号(掲載日2004年10月16日)     小児科へ戻る
子どもに薬を飲ませるとき

●くすり

 子どもー特に、2-3歳頃は 知恵もついてきて、
自分の嫌なものはとことん嫌がろうとする子が多いようです。
どうしても苦味の残ってしまう、お薬を飲ませるときが、そのよい例だと思います。

 今月号では、「子どもに薬を飲ませるとき」と題し、「子どもに薬を飲ませるとき」の
飲ませる側の心の持ち方を中心にお話していくつもりです。

 心の持ち方というと やや説教じみてるかもしれませんが、
「子どもに薬を飲ませるとき」の第1番目のポイントととして とらえて下さい。

☆ここでは、2-3歳の幼児を対象とします。
まず、子どもに薬の効き目(大切さ)を理解させる。

 ここで、コミュニケーションの大事な基本をおさえておきます。
相手が子どもであろうと、その基本はほぼ変わりません。
→このことを、しっかりつかんでいることが大切です。

 1.対等に
  いくら年齢差があっても、やさしい口調でわかりやすく ていねいに説明する。
このとき、説明する側に「優位な」気持ちが少しでもあると、上手く伝わらない。

 2.正直に
  「これは、薬である」と、つつみ隠さず言った方がよい。
もし、「これは、薬と違う」などとウソをついて なんとかその場を乗り切ったとしても、
たいていそのウソは後でわかってしまい、わかってしまうと かえって子どもの不信感を招く。

ある名言に、次のようなものがあります。

『正直であることは人間の行動の中で、最も能率的な行動です。
 すべてにおいて正直であることを習慣づけましょう。もし自分の発言に誠実でいられないなら、
最初から何も言わないようにすればいいのです。』

 3.熱意
  子どもであっても、薬の必要性を熱心に説く姿勢は必ず、届く。あきらめないこと。


気持ち

 もちろん、味や飲ませ方に工夫は必要でしょう。しかしその前に、
「子どもに薬を飲ませるとき」の心の持ち方が大切のような気がします。

最後に、「実際に子どもに薬を飲ませる」方法について大切とされていることや
飲ませるときの工夫の一部を挙げてみます。

薬は、赤ちゃんを含め子どもは食前に飲ませる。
∵子どもは苦味刺激でもどしやすく、食後に薬を飲むと
  せっかく食べた(飲んだ)ごはん(母乳やミルク)を吐いてしまうことがある。
  (食べ物の通り道である、食道と胃。薬が胃を刺激して、大人に比べると
  胃から食道への逆流を防ぐ機能がまだ未熟である子どもは、もどしやすくなる。)
粉薬が飲みにくければ‥‥
 (1)少量のぬるま湯,ミルク,ジュースなどでダンゴ状にして 上アゴに擦り付け、
  また ぬるま湯,ミルク,ジュースなどで流し込む。(舌の上にのせると、味を感じてしまう。
∵私は幼い頃からニンジンが嫌いで、できるだけ食べるのを避けている。(笑) 
  どうしても食べないといけない場面では、舌の上にとどめず 素早く飲み込んでしまう。
  そうすると、ニンジンの味や匂いを感じなくて済む。〓)
 (2)ジュースやカルピスなどと混ぜて冷凍しておけば、その薬の処方期間ぐらいなら可。
 注)ジュースなどを混ぜると 変な味になることがたまにあるので、
   薬を全部ジュースなどに混ぜる前に、必ず味見をして下さい。
   また、そのようになったら別の方法に切り替えて下さい。
・水薬と粉薬は、混ぜても良い。
健康エッセイ7月号(掲載日2004年9月21日)     小児科へ戻る
体温 ー測り方のコツー

●体温

 体の状態をあらわすのに、皆さんがいちばん使うものです。
割と気軽に測ることができるのも、よく使われる原因のひとつでしょう。
そこで、普段よく使っている平熱という言葉の本来の意味や「正しい体温の測り方」について、
今月号の健康エッセイでお話していきたいと思います。

●平熱(へいねつ)とは?

 平熱=平常時(10分間以上安静にした後)の体温 のことですが、
その平熱には 大人も子どもも、一日の中で 0.5℃前後 上がり下がりがあります。
その変化には個人差があって 健康でも、1℃近く変化する人もいます。
自律神経による調節と 周りの環境などの影響が考えられます。

ということは、平熱を聞かれたら
正確には「○時頃の平熱が、(  . )℃。」と言わないといけないかもしれません。
特に、自分の体温が低い(高い) と思い込んでいる方は、
この測った時間というものをチェックしてみて下さい。

ちなみに、体温は 一日の中で午前4時から6時頃 最も低く、
午後2時から5時頃がいちばん高くなります。
特に、子どもさんの 朝,昼,夕,夜と1日4回 食事前で安静にしている時間の平熱を知っておくと、
微熱がある場合 本当に病気からくる熱なのかどうか決めないといけないときなどに役に立ちます。

●フィクション ーある家での、朝の光景から

 今日は、小学校で予防接種がある日。学校へ行こうとしている子どもを引き止め、
「○○ちゃん、熱 測っとかんと‥‥」とあわてて体温計を腋に押し込みます。
朝のあわただしい中、体温が測れるまでの約1分間が長く感じられます。
しかし、ピピッと鳴った体温計の画面には「37.1℃」の表示。
「アレッ、微熱がある。こんなに元気そうなのに‥‥」、
と困った経験をお持ちの親御さんも多いかと思います。

●子どもの平熱は、37℃を少し超えることもあります。

 新陳代謝 ならびに活動も活発な子どもは、このようなことがあるわけです。

特にいつもと変わりなければ、37.4℃までなら予防接種を受けても良い と私は思います。
このとき、微熱(37.0-37.4℃)があっても、
「子どもが布団から出て ある程度ゴソゴソしたあとに測ったんだから‥‥」 と
納得しておくことが大事です。

 最後に、体温を測るときに気をつけてほしい点を、いくつかあげてみます。
ここでは、家庭でもよく使われている 測ろうとする体温をその上がり方から
内蔵されている機械が予測するタイプの「電子体温計」についてお話します。

●電子体温計 ー(腋(ワキ)の下で)体温を測るときのポイントー

・腋の下の汗をよく拭き取る。
・体温を測ろうとする直前に、衣服や体の一部に体温計の先端部分を触れさせない。
 →触れてしまうと、「Error」表示になりやすい。
・体温計は、腋の下へ 前下方から後上方向きに挿し込む。
 そして、体温計の先端部分が腋の下 中心やや手前にくるようにする。
 (そこは、大きな血管が通っている上で、体温が早く暖まりやすい。つまり、早く測りやすい。)
・測る方とは逆の(本人の)手で、腋をしっかり閉じる。
 →片方の手だけで閉じようと力を入れてしまうと、その腋の周りの筋肉が発熱してしまって
 体温計に影響を及ぼす恐れがある。
・時間に余裕があれば、はじめにピピッと鳴ってから
 そのままの状態でもう10分ほど待っていると 再びピピッと鳴って、
 今度は実際に約10分かけて測った値が表示される。
 (予測で測られた体温は、実際に測られた値と厳密にはわずかに違う。
 もちろん、実際に測られた値を正確なものとする。)
健康エッセイ6月号(掲載日2004年8月7日)     小児科へ戻る
和食の良さとは?

和食のすばらしさ

 「和食は体にいい」と良く言われます。実際、欧米ではここ何年か日本食ブーム。
本家・日本でも、和食を見直す運動が高まっています。

和食の利点をあげると、次の2つにまとめられると思います。

・低脂肪,低カロリー
・食物繊維が多い。

今月号では、和食を食べるとき 気をつけたらよいことにも触れながら、
和食の良さのポイントについてお話したいと思います。

和の食材 四つのポイント

・ごはん
・魚
・大豆
・野菜,果物


和食の食材の中でも、特に体にいいものをあげました。
それぞれについて、触れていきます。

 ▽ごはん

 日本人が食事から摂る、一日の全エネルギー量(=総カロリー)の平均50-60%を
ごはんが占めているそうです。このように、
一日の全エネルギー量に対する主食(ごはん)の割合が高いのが和食の特徴です。
ごはんは炭水化物なので、他の栄養素より1g当たりのカロリーが少なめ。
主食(ごはん)の割合が高い ということは、全体のカロリー数も抑えられがち でしょう。

ところが欧米型の食事では、炭水化物の主食以外に、
1g当たりのカロリーが高い脂肪の占める割合が高く、
総カロリーが多くなり 肥満の人が増えるのです。

 ▽魚

  魚に含まれている、身体に良い脂分(あぶらぶん)には、長く続けて食べると、
血圧を下げたり 動脈硬化を防ぐ効用があります。

 ▽大豆

  大豆には、大豆が発芽する「胚芽」という、やや苦味のあるところに
イソフラボンという物質が含まれています。
このイソフラボン、化学構造がヒトの女性ホルモンに似ています。

女性が男性より長生きなのは、
血管を保護する作用のある女性ホルモンのおかげと言われています。
その女性ホルモンに構造が似ているイソフラボン、
構造だけじゃなく 血管保護作用まで似ています。

<最近の問題点>
若者の食事調査では、最近大豆を食べることがかなり減ってきているそうです。

 ▽野菜,果物

  和食の唯一の難点は、塩分過剰になりやすいことです。
その食塩の害(血圧上昇など)を少しでも打ち消す効果が、
野菜,果物に含まれるカリウム(K)というミネラル分にはあります。

また、野菜,果物に含まれる食物繊維は、
体内において余分なコレステロールを掃除し 血管が細くなるのを防ぎます。

和食をメニューに活かす

 いくら体にいいと言っても、三食和食では飽きてしまうでしょう。

そのようなときは、和食にこだわらず、いろいろな食事の形をとりながら、
上にあげた和の食材 四つのポイントをしっかり守っていけばいいのではないでしょうか?
その際、塩分の摂り過ぎには注意して下さい。そして、脂肪分の摂り過ぎにも。

また、和食中心にしても すべての栄養を満足させるわけではなく、
カルシウム不足にはなりやすいです。牛乳やヨーグルトを加えましょう。
健康エッセイ5月号(掲載日2004年5月28日)     小児科へ戻る
じんましんー三つのポイントー

 じんましんというと、『やや古い食べ物などを口にしたとき、
 (ごく一部の例に)しばらくして体中ムズかゆくなり、
いっしょに「ミミズ腫れのような皮膚の赤い盛り上がりが、全身に地図状に広がる。
そして、あとかたもなく消えてしまう。」』ーこのような皮膚の状態になる。ー
というような印象が強いと思います。

しかも、全人口の15-20%が一生のうち一度は
じんましんになると考えられています。

それだけ身近な病気じんましんについて、今月号では、今までの考え方が
正しかったかどうかを含め、三つのポイントに絞って、お話していきましょう。

●<ポイント1>じんましんの起きる仕組み

 皮膚の比較的浅いところにある、肥満細胞という細胞
 (←けっして、太っている人だけにあるのではなく、誰にもあります。(笑)
 内部にヒスタミンなどの化学物質を含む顆粒をたくさん持っていて、
 膨らんでいるように見えるので、そう呼ばれています。)が、
 何らかの理由で、その顆粒が放出されてしまいます。
 すると、ヒスタミンなどの化学物質が漏れ出て、じんましんを引き起こすわけです。

ヒスタミンは、血液中の水分を血管から漏れ出させる作用があるため、
 周囲の皮膚を赤白く少し膨らませたような状態にします。
 また、かゆみ神経を刺激して、強烈なかゆみを起こします。

この肥満細胞、顕微鏡で皮膚内部の一部を見て、はじめてわかります。
 普段は免疫(体の抵抗力)に重要な役割を果たしています。

 肥満細胞,ヒスタミンなど、聞き慣れない言葉が出てきました。
 でも、この2つの言葉を理解していれば、なぜじんましんができるか、
 という疑問に少し助けになるでしょう。

●<ポイント2>じんましんの原因 いろいろ

 じんましんの原因はさまざまです。

昔は、比較的古くなりやすい青魚などを食べると
じんましんが出るのだと思われていました。

現在では、以下のような原因があるといわれています。

 [比較的多い原因]
 ・食べ物
  サバ,エビなどの魚介類、ソバ、大豆、小麦粉、落花生、ゼラチン、
  木の実(くるみ,ギンナンなど)、卵、牛乳、ハーブ、タケノコなどの山菜、
  キノコ類、果物(オレンジ,バナナ,キウイ,栗,桃など)など
  その他、メロン,カニ,マツタケが原因となっている、気の毒な人もいます。
 ・くすり

 [あまり多くはないものの、じんましんの原因になるもの]
 ・カゼなどの感染症
 ・食品添加物
 ・化粧品
 ・洗剤
 ・有機溶剤:シックハウス症候群
 ・ほこり,ダニ
 ・ひっかき,圧迫
 ・日光
 ・温度(暖かいのがいけない人もいれば、冷たいのがダメな人もいる。)
 ・運動
 ・汗
 ・振動
 ・金属
 ・ゴム
 ・昆虫(蜂など)
 ・植物
 ・内臓病変;非常に まれ。
  じんましん
以外の症状(長引く発熱,関節の痛みなど)がなければ、
  内臓の病気はまず考えなくてよい。
 ・こころの問題(精神的ストレスなど)

●<ポイント3>慢性化してしまったケースへのアドバイス

 多くのじんましんは、だいたい何が原因だったか推定でき、
次から用心することもあり、再発することは少ないです。

ただ、ごく一部に再発を繰り返し、
1カ月以上にわたって慢性化するケースがあります。
このような例では、じんましんの原因がわかっていないことが多いのです。

だから、「じんましんの原因物質に近づかない」ようにすることは難しいでしょう。
ここで、日常生活でのケアが大切になってくる、ということです。

1.規則正しい生活:1日の中で、
 免疫系統が効果的に働く時間帯が決まっているので、
 人の生活もそれに合わせよう という意味。

2.十分な睡眠

 人間は、主に睡眠中、体の中で
 副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモンというものを出します。
 そのホルモンの重要な作用の一つに、アレルギーを抑える働きがあります。
 (アレルギー患者では、このホルモンの出が十分でありません。)

 しかも、このホルモンはぐっすり眠れば
 それだけ十分適量出るようになっています。
 出過ぎることは、ありません。

 ぐっすり眠りに入るためには‥‥

 ・枕や布団など
 アレルギーの元になりやすい、ほこり(ハウスダスト),ダニの死骸などを
 できるだけ減らすように、乾燥,清潔を心がける。
 ・寝る前に、テレビやテレビゲームで興奮しない。
 ・寝る部屋が、静かで十分暗いこと。

じんましんをすべてアレルギーで説明することは、できません。
 ただ、この病気の起きる仕組みは、アレルギーそのものである場合と
 アレルギーに似ている場合だけなので、
 アレルギー患者さん用の注意事項を示しました。

3.自然(nature)と触れ合いながら、適度な運動:心身をリラックスさせ、
 血液循環が良くなる。→免疫系統への栄養も良くなる。
 「適度な運動」の具体的な基準はありません。
 要は、疲れを残さず、(毎日でなくても)続けることではないでしょうか。

4.夜は早く寝る。ストレスを少なく。

5.食習慣を見直す。
 食品添加物の入っているものを避ける。(手作りがいちばん!)
健康エッセイ4月号(掲載日2004年4月25日)     小児科へ戻る
コミュニケーション ー相手の言うことをよく聞く習慣ー

●4月、スタートの季節です!

 新入学生にかぎらず4月は、これからがんばろうと思えるスタートの月。
 新しいものに出会う機会も増えてくると思います。

でも、緊張のあまり、そのせっかくの出会いがストレス、
しかも自分に重荷となってしまっては元も子もありません。

出会いについては、人それぞれの思いや行動が関わってきます。すなわち、
気持ちのあり方によって、その出会いがプラスにもなり、苦痛にもなりうるのです。

さて、それをプラスにしようとして、この思いや行動について考えるとき、
第1段階として、「相手の言うことをよく聞く」ことが大切だと思います。

「相手の言うことをよく聞く」ことが上手なコミュニケーションの秘訣の一つであり、
体にプラスにもなる、ことなどを含め、今月号でお話していきたいと思います。

☆「相手の言うことをよく聞く」ためには‥‥

 自分の気持ちの中に、次のようなことが必要だと思われます。

・感謝
・謙虚
・相手を認める。
・尊敬(敬意):かなり年下であっても、対等に。

以上の四つの条件を満たせば、
人の意見やアドバイスなどに素直かつ じっくり耳を傾けることができます。

いったん頭の中に入った情報は、
ゆっくり吟味して、自分の生活に活かせばよいわけです。

              
 出会いについて強く関わってくる、人それぞれの思いや行動には、
体の中のホルモンが大切な役目をしています。

●体にプラスに働く、脳内ホルモン

 次に示すホルモンは、☆印のように、
前向きな気持ちになれる、心の状態になったとき、からだとこころを癒したり、
免疫力(体の抵抗力)を強くしたり、体にプラスに働くものです。


ちなみに、以上のことは科学的にも証明されています。

これらのホルモンは、脳から分泌され、
血流に乗ってそれぞれの作用部分(→これまた、脳の中にある。)に運ばれます。
いわゆる脳内ホルモンの一種です。

・ドーパミン:通称やる気ホルモン
・成長ホルモン:通常の「体を成長させる」作用以外で、
 通称癒しホルモンと言われる部分
・セロトニン:通称幸せホルモン

良いホルモンを分泌させる習慣

 新しい出会いを苦痛にしないためには、まず「相手の言うことをよく聞く」→
それによって、相手を受け容れながら自分の意見も主張できる。→
コミュニケーションに余裕ができる。→出会いが悪いストレスにならない。
−こういった、好循環を作ることが大切でしょう。

そのためには、☆印のようなこころの状態になるよう いつも気をつけ、
いわゆる良いホルモンを分泌させる習慣をつけたいものです。

こうして、脳の中に良いホルモンが流れることによって、
コミュニケーションの第1段階である ー相手の言うことをよく聞く習慣ー の
下地ができてくるのではないかと思っています。
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