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健康エッセイ10月号(掲載日2006年10月30日) 小児科へ戻る |
カルシウムと心の落ち着き ●カルシウムの役割 |
健康エッセイ9月号(掲載日2006年9月22日) 小児科へ戻る |
「様子をみる」って? ●「様子をみて下さい。」 小児科などを受診すると、帰り際「これ(薬)でしばらく様子をみて下さい。」と 医師から言われることがあると思います。 このとき、「様子をみる」って どういうふうにすることだろう? と ふと思ったことはありませんか? もちろん、「子どもさんの姿かたちをじっと見る」ことではありません。(笑) 今月号では、その「様子をみる」って? に焦点を絞って説明していきたいと思います。 子どもさん(小児)を主に対象としますが、大人に当てはめてみても良いでしょう。 ●「様子をみる」ことの意味 一般的に、医師が診察するとき 一回で診断から治療まで解決してしまうことは 珍しいでしょう。(もちろん、病気によっては一回で済むものもあります。) 状態に合わせて適切な処置を取る必要がある病気 (例)中耳炎,肺炎,肝炎,腎炎,脳炎,心筋炎などの比較的ややこしい病気 その初期はどれもカゼみたいな症状なのです。 時間とともに変化する体の状態をよく観察することによって、 正しい診断をすることができます。 その状態を観察するのは、ほとんど家庭において。 医師は家族からの体の状態の変化の情報を聞いて、新しい診断にたどり着くのです。 まさに、家族と医師の共同作業によって カゼではない重大な病気を発見できると 言えるのかもしれません。 たとえば単なる発熱の動きだけを医師に報告するのではなく、 合わせて体の状態の変化の情報が必要です。 具体的には、機嫌・食欲・顔色・睡眠の四つだと思います。 それでは、この四つそれぞれについて説明していきたいと思います。 ▼機嫌 子どもの場合、遊びと言い換えることもできそうです。 昔から「子どもは遊びの天才!」と言われるように、 ものごとから何でも前向きに遊びを創り出していきます。 ここでもし体調が下降線だったら、遊びに注ぐエネルギーはないかもしれません。 大人にしてみても、体調がごくすぐれないときは いつもの決まった仕事なら 何とかこなせるけれど 創造的な(=何か新しいことを創(はじ)める)ことをする元気は なかなか出てこないような気がします。 ▼食欲 人間のもっとも大切な欲の一つです。 しかも、体調が良くないときはほぼ正直に食欲も落ちてきます。 ▼顔色 ショックなこと(例)思いっきり叱られる,トイレを我慢しているか、 思わず漏らしてしまって困っている,大きなケガはないものの、 頭をぶつけたりどこか体を傷つけびっくりしている など)が起これば、 顔色だって悪くなります。でもそれは一時的なもので、 ある程度時間がたてば元に戻るはずです。 たとえば熱の高さだけでなく、熱はそれほど高くなくても いつもより悪い顔色が続いていたら要注意です。 ▼睡眠 これは、大人の方も経験あると思います。 たいへん体調不良のときは、とてもぐっすり眠れたものではありません。 逆によく眠れるようになれば、上向きのサインなのでしょう。 ●機嫌・食欲・顔色・睡眠の四つが保たれている場合 どんなときも、病院を受診しなくてよいのでしょうか?答えはNoです。それは‥‥ ・先に書いたように、 一回の診察で診断から治療までほぼ問題解決してしまう病気がある。 →いつまでもグズグズ待っているより、すっきりする。 (例)水ぼうそう,手足口病,とびひなど ・自分の子ども独特の特性を知り尽くしている母親はじめ家族の勘で、早目に受診させる。 ・機嫌・食欲・顔色・睡眠が保たれていても、心配な症状が続いている。 例)発熱,皮膚のブツブツ,リンパ腺の腫れなど ☆まとめ 熱が出た。(セキ,鼻水,くしゃみなど) お腹が痛い。吐く。下痢する。 頭が痛い。 息が苦しい。 ‥‥など さまざまな理由で病院を受診されることがあると思います。 そのときに主な訴えだけでなく、上に書いた機嫌・食欲・顔色・睡眠の四つの点の 変わり具合にも気を配って下さい。 そのことが、医師側にとって力強い正しい診断への味方になるでしょう。 そして結局、患者さんである子どもの苦痛を早く取り除くことになるのです。 |
健康エッセイ8月号(掲載日2006年8月27日) 小児科へ戻る |
暑さと水分補給のポイント ●なぜ水分補給が大切か? 人間の体の中は、環境を一定に保とうとします。環境というと何だかややこしそうですが、 今回お話しようと思っている水分補給の水分や体温,呼吸,血圧などを指します。 この一定に保とうとする力は、 体の中だけの力以外に外から補ってあげる要素が必要な場合があります。 水分補給は、大人も子どもも大切なことです。 だから、今回は対象を子どもから大人まで広げることとします。 ●もし、水分補給が不足したら‥‥ 暑さや病気などで足りなくなった、体の中の水分。 体はその状態を元に戻そうとしますが、残念ながら自分で水を作ることは不可能です。 そのため、外からの水分補給が大きく不足してしまうと、 体の中の水分バランスが崩れさまざまな病的な状態を招くのです。 夏になると、よくニュースで聞く熱中症(ねっちゅうしょう)。 季節には関係なく、いろんな病気での脱水症(だっすいしょう)。 →この二つが水分不足の代表的な状態です。 異常な喉の渇き,不機嫌,唇の乾燥,異常な疲労感,吐き気,ぼーっとする,筋肉のけいれん, ひどくなるとまったく意識がなくなる ●水分補給のポイント ・水分は、胃ではなくその先の小腸・大腸で吸収される。 (飲んだ水分は、胃を通過した後 小腸から大腸へと流れながら吸収される。) →せっかく水分を摂ったつもりでも 摂り方次第ではうまく胃から小腸へ水分が流れない恐れがある。 どんな摂り方かというと‥‥ ・ぬるいまま。 (→冷やすとグンと小腸へ移行しやすい。 熱いお茶と冷たい水とでは、小腸への吸収が4倍以上も違う。ただし、 朝一番に摂る水分は 体を不必要に緊張させないよう、あまり冷た過ぎない方がよい。) ・お酒類(ビールなど)は、水分補給にならない。 →飲んだ分以上が尿になって体の外へ出てしまうので。 ∵お酒のアルコールには利尿作用(=おしっこがよく出ること)があり、 しかもそのアルコールを体の中で(主に肝臓)処理するときに使われる水もいっしょに 尿に出るため。 <水分不足にならないための対策> ・飲むことがわかっているなら、その30分ほど前に (→水分が腸に吸収されるのに30分くらいかかる。)水分補給しておく。 →といっても、「やっぱりビールは喉が渇いてるときに‘カーッと’飲むに限る!」 という方もいらっしゃるでしょう。 でも、ご心配なく。余程水分を摂り過ぎない限り、 摂った水分は30分ほどで体に吸収されてしまうし喉の渇きも多少続いているはず。 ・夜間寝ている間、汗などで約300ml体から失われる。 →寝る前にコップ一杯の水分が貴重になることはわかる。 でも、夜中にトイレに行く回数が増えるのでは 今までトイレに起きたことないのに 眼を覚ましてしまうのが心配で寝る前の水分補給をためらう気持ちもわかります。 人間には眠っている間 抗利尿ホルモン(こうりにょう‥‥)という おしっこが出にくくなるホルモンが分泌される。 (→絶対に出なくなるわけではない。)したがって、トイレのことは心配するほどではない と思われる。冬場は、飲む量を少なくしていいかもしれない。 ・炎天下での活動を30分続けると、およそ400mlの汗をかくと覚えておく。 ☆水分は腸から吸収されるまでに30分かかる。 →このことを踏まえて、体が水分不足にならないために、 あらかじめ水分がたくさん失われそうだとわかっているときは、 前もって水分補給しておく。 もちろん、汗をかいた後の水分補給も大切。 ・きっちり朝食を摂る。 →食事の中に水分があり、 しかも朝一番に日中の活動に必要な水分を摂っておくことは、とても有意義である。 ・もうひとつ、汗の成分から水分補給を見直してみましょう。 ▼汗の成分 ほとんどが水だが、わずかに塩分が含まれている。 なので、水分補給のときは極少量の塩分摂取をお忘れなく! (水1l(リットル)に対して塩小さじ1杯弱が目安) ●水分補給に適している飲み物 冷水 麦茶(極わずかに塩分を含む。) そば茶 ▼不適切といえないまでも、注意して飲んだ方がいいもの コーヒー,紅茶 玄米茶,緑茶,ウーロン茶など →これらはカフェインを含み、利尿作用がある。 |
健康エッセイ7月号(掲載日2006年7月19日) 小児科へ戻る |
子どもの「チョコチョコ食い」 (☆「子どもがチョコレートを食べる」ことではありません。(笑)) ●子どもの食べる様子 子どもの食べる様子をよく観察していると、おいしそうな(特に、甘い)ものに、 チョコチョコ手を出しています。 これはどの子どもにも共通で、どうもしつけとはあまり関係なさそうです。 今月号では、そのあたりのことについてお話したいと思います。 (個人差もあるでしょうが、ここでは1歳ぐらいから小学校くらいの子どもさんを対象にします。) ●子どもの胃は小さい! しかも、その子のげんこつ位しかないといわれています。 だから、考えてみたら よっぽどお腹が空いてない普通の状態なら、 食卓に並んである何気ない日常の食事を全部残さずに食べることは難しい気がします。 そして、 そのエネルギーの不足分を(適度な)「チョコチョコ食い」で補っているのかもしれません。 ▼この現象、少し詳しく説明しますと‥‥ ごはんを食べると、血液中の糖分(=血糖)の値が上昇し、それを下げようとすい臓から インシュリンというホルモンを出す。インシュリンによって適度に下がった血糖値を、 元に戻すために半ば本能的に「チョコチョコ食い」をしているとも考えられる。 ここで半ばと書いたところがミソ。 子どもがどのへんから甘えで欲しがっているのかを 保護者は見きわめないといけない。 この30年程の間に問題になった、飽食の時代(=食べ物があり余っている)。 もし子どもが無理矢理いっぺんにお腹いっぱい食べたとしたら、どうなるでしょう? →一度に高いカロリーが体に入ってしまうと、それだけ多くのインシュリンが必要。 反動で血糖が低くなりやすい。(=低血糖の状態) そうなると、「チョコチョコ食い」のエスカレートで肥満になる恐れも。 また、低血糖の状態は一種のストレスである。 すると、体にさまざまな悪い影響(攻撃的になる,やる気が出ない,アトピー性皮膚炎,不登校など; ←これらは、低血糖以外にもいろんな理由が複雑に絡み合っています。)を及ぼす。 ▽さらに、子どもの胃の出口は大人に比べると狭くなっている。すなわち、 胃の中に入った食べ物は腸の方へ流れるのにやや時間がかかる。 要は、すぐお腹いっぱいになる ということなのでしょう。 そういえば、我が子のときも 「確かあの子の好物なのに‥‥ある程度食べるとプイと向こうへ行ってしまった」経験が あります。(笑)(先に、何か食べていたのでしょう。) ●食べむらとの関連 小学校までの子ども(小学生を含む)にはよくありがちなのですが、 まったく元気なのに食べようとしない かと思えば、 あるときはすごくよく食べる というように食にむらがあります。 このようなことを食べむらと言うそうで、子どもの周りでは心配されます。 でも、結局大きくなるにつれてまず治ってしまいます。 食べる量の少なさと好き嫌いがクセになるかならないのかが気になるところでしょうが、 それも心配するほどにはなりません。 食べむらと「チョコチョコ食い」に100%の関連性はないものの、深い関係があります。 特に、食べむら問題解決の一助に「チョコチョコ食い」を活用してみてはどうでしょうか? ・子どもの目の届くところに、少量でも栄養豊富なものを食事トレーに。 ・好きになってほしい食べ物を外見上わからないようにして、何気なくトレーへ。 ・とにかく、「食事は何が何でも食卓で。」という考え方から一歩外へ踏み出す 必要があるかもしれません。 ●「チョコチョコ食い」を認めましょう! ・子どもの胃の大きさ,造りからして、「チョコチョコ食い」はむしろ自然の成り行きかもしれない。 ・「チョコチョコ食い」の中味がポイント。お菓子や(夏だと)冷たいアイスクリーム, ジュースなどだけでは栄養的にまずい訳で、たとえば、ちりめんじゃこのフリカケご飯, さつまいも(又はじゃがいも)の蒸かしたもの,枝豆,とうもろこしなど、その子に足りてないと 思われる栄養素を含んだ食べ物をmainにすれば良いのではないでしょうか。 ・「食事のときは行儀をしつける」とき と決めつけない。 多少は行儀作法から外れるかもしれない この「チョコチョコ食い」 食べ物の中味を充実させ、 子どもの周りの人々が笑顔で認めてあげられる 忙しさの中でもそのような余裕を持ちたいですね。 |
健康エッセイ6月号(掲載日2006年7月2日) 小児科へ戻る |
●夏に風邪? 確かに、風邪は冬場の寒い時期に多いのですが、夏の暑い頃に起こってくる風邪もあります。 冬の風邪は、インフルエンザウイルスをはじめとする各種いろんなウイルスによることが多いです。 そして夏風邪もウイルスによって起こることが多いのですが、 その原因となるウイルスの種類が冬の風邪とはまったく違うわけです。 すなわち、冬場は 低い温度,低い湿度に適した(ウイルスの数が増えやすい)ウイルスが主で、 夏になると 高い温度,高い湿度で活躍するウイルスが主役になります。 まだ抵抗力(=免疫力)の弱い、子どもに風邪(冬も夏も)は多いです。 しかし、大人の夏風邪も珍しくありません。 そこで今月号では、大人から子どもまでを対象に、夏風邪についてお話したいと思います。 ●代表的な夏風邪のウイルス 主に子どもに多いウイルスをあげます。 コックサキーウイルス エコーウイルス エンテロウイルス アデノウイルス ほか ★何かややこしそうな名前が出てきました。でも、無理して覚える必要はありません。 病院などでもしこれらのウイルスの名前を言われても動じないようにするため、 頭の隅にでも置いておいて下さい。 ●夏風邪ウイルスの特徴 1.鼻やノドの粘膜でウイルスが増えるだけでなく、お腹の症状の有る無しに関わらず 腸粘膜でもウイルスが数を増やしている。 →咳や鼻水など風邪一般の訴えだけで、お腹の症状がなくても、 糞便を介して夏風邪が移ることもある。 ∴手洗いが大事。 2.ゆっくり発症して長引く傾向にある。 ・夏場の免疫力低下が大きく関係しているらしい。 ・温度や湿度の条件(夏風邪ウイルスは、高い気温,高い湿度を好む)が整えば 急激にその数を増やして悪さをすることがある。 →このあたりが、夏風邪が長引く原因になっているかもしれません。 ●夏風邪対策 では、夏風邪を予防するためにはどうしたらよいでしょうか? 冬の風邪にも共通で一般的なこととして‥‥ ・休養(十分な睡眠) ・ストレスが重なったら、リフレッシュで発散を! ・規則正しい生活 ・バランスの良い食事 ・十分な水分補給(cf.ビールは、飲んだ分以上おしっことなって体の外に出てしまうので 残念ながら水分補給にはなりません。) ここで夏だから気をつけたい項目をズバリ言うと‥‥ ・部屋の環境(温度と湿度)を整える。 →夏風邪のウイルスが高い温度と湿度を好むことから考えると、 部屋の環境を気持ちよくさせることは本当にピッタシの考え方です。 →この意味は、必ずしもエアコンがないとできない というものでもありません。 風通しなど工夫するだけで、かなり違う。 ☆とはいうものの、エアコンの快適さを上手に利用したい。 (私も体験してみたのですが、外の気温があまり高くないとき、 (エアコンの)除湿機能だけでも結構快適でしたょ。) cf.子どもがいたずらで、リモコンの設定を冷房から暖房にしていることがあるそうです。(笑) ●夏風邪と紛らわしい病気 確かに、夏風邪は長引くことが多いもの。 でも、そのことだけにとらわれてばかりではいけない例も、まれながらあります。 ・カビによるアレルギー反応 ・耳鼻科的な病気(中耳炎,副鼻腔炎(ちくのう症),花粉症など) など ☆風邪症状が長引いているときは、思いきって医師の診察を受けて下さい。 思わぬ事態の解決方向へ進むかもしれません。 |
健康エッセイ5月号(掲載日2006年6月2日) 小児科へ戻る |
「早寝早起き」の習慣 ●「早寝早起き」 規則正しい正しい生活習慣は、生活にリズムを持たせ、 体のリズム(体温調節,ホルモンの出具合など)も整えます。 特に、子どもの頃から規則正しい正しい生活習慣をつける(まずは「早寝早起き」から)ことでしょう。 これから成長して大人になるために、ホルモン(成長ホルモンなど)バランスの維持など、 体の中の環境を調節するためにたいへん大切と思われます。 (成長ホルモンについては、健康エッセイ 2003年8月号を参考にして下さい。) 近頃問題になっている、子どものやる気,集中力などの低下、すぐキレル子、学力低下、 不登校などにも この「早寝早起き」習慣は効力を発揮しそうです。 ●「早寝早起き」について書こうと思ったら‥‥ そこで私は、当健康エッセイ 今月号のテーマを「早寝早起き」にしようと思い、 インターネットでいろいろ調べていました。 すると、今年4月から文部科学省主催で[子どものリズム向上プロジェクト]というものが立ち上がり、 これに反応して「早寝早起き朝ごはん」運動全国協議会(PTAや教育関係識者などによる)が できたと知らせているホームページに出くわしました。 国のプロジェクトが、民間主体の「早寝早起き朝ごはん」運動という活動を全国レベルに引き上げた かっこうです。 以前から一部の学校や地域独自で行なわれてきた活動ですが、 このように全国規模で実施されるのは珍しいようです。 そのホームページでは、もちろん規則正しい生活リズム(すなわち、「早寝早起き朝ごはん」)を 子どものうちから習慣にすることによって明日を担う若者の健康を守るという考え方が 示されています。 さらに、この全国協議会会員を見ると <個人>では‥‥ この協議会の会長で元文部大臣、有馬朗人(あきと)氏 教育心理学者、河合隼雄(はやお)氏 単純計算の繰り返しが学力向上につながることを提案し、その百ます計算を考え出した 現役小学校校長、陰山英男氏 料理研究家、服部幸應(ゆきひろ)氏 94歳の現役内科医師、日野原重明氏 など <団体>では‥‥ (政府(文部科学省など)も後援していますが、あくまで民間主体です。) 全国PTA,一部食品会社,教育関連団体など 協議会のメンバーをみるとそうそうたる顔ぶれなんです。 それだけ明日を担う子どもたちの未来を気遣ってのことでしょう。 皆さんの地域では、すでにこの「早寝早起き朝ごはん」運動の 一部が実践されているかもしれません。 (朝ごはんの大切さについては、 みきちゃんホーム健康エッセイ 2001年10月号を参考にして下さい。) ●最近の体のリズムについての科学的解明 ・朝早く目覚めている体に 体のリズムを決める働きのある遺伝子の全体像を解明。 (自分の意思でコントロールできない体の働き(=いわゆる自律神経による活動)には、 遺伝子が関係している。その遺伝子によって体のリズムが調節される。) ・遅寝 遅起きでは、かえって体の免疫(=抵抗力)レベルが下がる。 この二つの事実と「早寝早起き朝ごはん」運動は、直接関係するものではありません。 でも、単に規則正しく睡眠時間をとっていればよいというものでもなく、やはり「早寝早起き」が 重要になってくることを証明しているのでしょう。 ◇ ◇ ◇ 「早寝早起き」がいかに合理的で体に良いか、 そのための国民的運動が始まっているということはおわかりいただけたと思います。 では、実際に‥‥ ▼どういう時間帯が「早寝早起き」か? ポイントは、 1.夜中12時前後[=成長ホルモンがいちばん多く(脳から)体の中に出される]に熟睡していること。 (寝入って2時間ほどして熟睡時間帯を迎える。) 成長ホルモンは、熟睡中にたくさん出される。 2.体を目覚めさせ 一日を活動的に過ごすことのできる体をつくる いわゆる元気ホルモンである副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン。 このホルモンが目覚めの直前、しかも朝早い時間帯に(脳から)体への命令を伝えるため 出される。 ということは、朝の早起きが必要。 以上二つの条件から、睡眠時間帯の理想最低線は‥‥ (赤ちゃん以外の子どもで)午後10時〜午前6時 (大人では)午前0時〜午前6時 と言えるかもしれません。でもあくまで目標ですから、一日二日できなくたってかまわないのです。 「早寝早起き」の良さが実感としてわかっていれば、自然にそうなっていくのでしょう。 ▼どうやったら「早寝早起き」できるか? 自分の経験からズバリ言うと、早く寝ることに限るのでしょう。 夜早く床に就けば、翌朝は自然に早く目覚めます。反対に、夜寝るのが遅くなってしまうと 翌朝早く起きることは困難で、たとえ無理して早く起きてもけっして頭はスッキリしていないでしょう。 また、家族皆が「早寝早起き」だと理想的です。 ▼明日の希望 西洋のことわざに、寝るときに翌日やりたいことを考えられる人は幸せである。 というものがあります。 「早寝早起き」の習慣は、きっとこのような希望も生み出してくれるでしょう。 |
健康エッセイ4月号(掲載日2006年4月11日) 小児科へ戻る |
●新しい体験(=コミュニケーション)が、新たに湧き上がる力を生む。 先日、我が家で私の知り合い数人と俳句会を開きました。 というのも、私と私の母親が何年か俳句を続けています。 ちょうど我が家の庭のしだれ梅も見頃になってきたこともあり、我々の方からお誘いした訳です。 知り合いの方も、少し俳句には興味があったみたいです。 一人三句提出し(お題は梅、その他何でもOK.)、句の作者が誰だかわからないようにして、 出席者7名×3=21句の中から各人が10句を選ぶわけです。 句会に参加して下さった中に、Kさんと言われる方がおられました。 私の知り合いのさらに知り合いで、私は初対面です。俳句もされてるそうですが、 これまでどこにも発表したことがなく、ましてや今回のような俳句会は初めてということでした。 後で聞いたのですが、Kさんは、60歳代前半、約2年前に発病した脳出血の後遺症で、 車椅子を押してもらっての移動です。 言葉の面では、発語がわずかに可能なほかはほとんど会話はできません。 しかし、おそらく懸命な言語リハビリの成果でしょうか、 言葉の持つ意味の理解への障害はかなり回復されているようです。 それは、提出された立派な俳句でわかりました。 その句会は、和気あいあいのうちに進んでいきました。 Kさんはいろんな句が読み上げられるたび、 もちろんご自分の句が選ばれるたび(笑)嬉しそうな表情を浮かべておられました。 句会がお開きになったとき、 Kさんの奥さんが「(主人が)こんなに自分から笑って楽しそうにしているのは、 病気になってから初めてです。‥‥」と感想を漏らされていました。 「新しい体験(=コミュニケーション)が、新たに湧き上がる力を生む。」 −このことは古くから言われていることかもしれません。 しかし、最近我が家で開いた俳句会でそういう出来事が起こりました。 新たなコミュニケーションが表情を生き生きとする現場を目の当たりにして、 皆さんにお伝えしたわけです。 私のようになかなかコミュニケーションを取りづらい者でも、 パソコン(インターネット)さえできればさまざまな人たちとの交流も可能です。 俳句の世界も広がるかもしれません。 Kさんには、今すぐには難しくても、 将来的にパソコンをするという目標というか夢ができました。 少し勇気を出して新たなコミュニケーションにチャレンジすることによって、 新しい夢が生まれて来ることを間近に体験したひとときでした。 ☆句会当日参加者それぞれの代表句 車椅子に一枝の触るゝ枝垂れ梅 梅の香の人と楽しく暮らしてく あるじ病みのびほうだいの梅の花 亡夫植ゑし紅梅に客もてなさむ 紅梅のカーテン越しに香りけり 梅の会笑顔笑顔で集うなり そしてKさんの句は‥‥ 蝉鳴きぬ少年の日や遠い尾根 ◇ ◇ ◇ ▼新しいコミュニケーションは、病気の治療や予防にもなる気がします。 このことは、感覚的に比較的容易にわかると思います。 それを「直接」科学的に証明したものではありませんが、 コミュニケーションと脳科学について触れているweb page上の文章があるのでご紹介します。 『まなびの杜』第17号(?年秋) 特集「脳科学レポート」 ;東北大学 未来科学技術共同研究センター 川島龍太教授 著 http://www.bureau.tohoku.ac.jp/manabi/manabi17/mm17-45.html ↑やや長文です。 読むのに12-3分かかると思うので、お時間のあるとき読んでみて下さい。 |
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