健康エッセイ2月号(掲載日2004年3月15日) 小児科へ戻る |
[体の機能の調節力] ●調節力とは? 人間は、子ども,大人にかかわらず、ストレスなどで体の状態が変わっても、 それを元の安定した様子(=恒常(こうじょう)状態といいます。)に自動的に戻す力 =調節力が備わっているのです。 体の機能自体の力は、子どもの方が大人より弱いということは、おわかりと思います。 さらに、この調節力も、子どもの方が未熟であるといえます。 そのような調節力の未熟さに加え、 最近の子どもの調節力自体の低下が叫ばれています。 今月号の健康エッセイでは、体の機能の調節力 がどのようなもので決められ、 またその調節力をアップさせるためにはどうしたらよいか、 などについてお話したいと思います。 ●体の調節力を決めるもの ○○系 : (命令伝達に使うもの) 神経系[自律神経を含む]:(電気信号) 内分泌系:(ホルモン) 免疫系:(リンパ球) ↑この三つの系統で決まり、それぞれの中枢(=司令塔)はいずれも脳である。 脳のエネルギー源は、ブドウ糖。ブドウ糖は糖質から作られます。 ストレスがかかったり、カゼをひいたとき、無性に甘いもの (Sweetsやアイスクリームなど)がほしくなったことはないでしょうか? 甘いものは、糖質の一種。こんなとき、甘いものがほしくなる、というのは、 体を自分で治そうとする自然な欲求なのかもしれません。ただし、食べ過ぎは禁物! □ それでは、3系統それぞれ、おもな調節力をあげてみます。 ▼神経系 神経┏中枢神経(脳・脊髄) ┣末梢神経(知覚,運動神経) ┗自律神経:体温,脈拍,血圧,呼吸など、内臓の動きをコントロール ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・感情(怒り,欲求など)を思考でコントロールしにくい。 ・朝礼などで、よく倒れる。 (→自律神経の未熟さからくる、起立性調節障害(=脳貧血)) ・平熱の体温が、36.5℃より低い。 :自律神経の未発達による体温調節力の未熟さが、主な原因。 運動不足による、体の中での熱エネルギー産生の低下も 関係している。 ちなみに、体の活動に必要な酸素は、36.5℃の下で最も良く働く。 ・よく転ぶ。 ・不器用 ・体のやわらかさが少ない。 など ▼内分泌系 ホルモン ┏副腎皮質ホルモン:体をストレスから守ってくれるが、 ┃ 免疫(体の抵抗力)を低下させる作用もある。 ┣成長ホルモン:癒しのホルモンでもある。主に、睡眠中に分泌される。 ┣抗利尿(こう りにょう)ホルモン:おしっこの量を調節。 ┗その他、数十種類のホルモンが関係している。 ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・肥満児の増加。:食べ過ぎと運動不足が主な原因であることはもちろんだが、 いくつかのホルモンも肥満に関係している。 ・夜、ぐっすり眠れない。:夜遅くテレビなど明るい光を浴びる習慣がついていると、 睡眠に入るためのホルモンバランスが崩れ、熟睡できなくなる。 ・いつも疲れている。 など ▼免疫系 ◎最近、子どもの間で増えてきている問題 ・アレルギー(アトピー,食物アレルギー,喘息,アレルギー性鼻炎,花粉症など) =免疫異常の病気が増えている。 ☆調節力は、これら三つの系統因子が微妙に関係し合っています。 ●調節力をアップさせるには‥‥ 1.規則正しい生活:1日の中で、三つの調節系統が効果的に働く時間帯が 決まっているので、人の生活もそれに合わせよう という意味。 2.十分な睡眠 3.自然(nature)と触れ合いながら、適度な運動:心身をリラックスさせ、 血液循環が良くなる。→調節系統への栄養も良くなる。 「適度な運動」の具体的な基準はありません。要は、疲れを残さず、 (毎日でなくても)続けることではないでしょうか。 と ここまでは、よく言われてきたことかと思います。 以下は、最近強調されるようになった事柄です。 4.「少々○○なことなら、がまんする。」 すなわち、××でないといけない、という固まった考え方を捨て、 少しのことなら体に負担をかけ、調節力を鍛える という発想。 ○○なことの例としては‥‥ 暑さ寒さ,汚なさ,不便さ・不自由さ などがあげられます。 |
2003年度 4月号 5月号 6月号 7月号 8月号 9月号 |
2003年度 10月号 11月号 12月号 1月号 2月号 3月号 |
インターネット小児科へ戻る |
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||